第4講、歌唱中に行う持ち替え ~マイク持ち替えオタク養成講座~
持ち替えオタク講座も4回目です。まだまだ、語りたいことが尽きないです。
前回はこちら。
目次はこちら。
さて、ここまではダンス中の持ち替えを紹介してきましたが、今回扱うのは歌唱と持ち替えを同時にこなすやつです。普通のよりむずい。
歌唱中なので、マイクは口元にホールドさせたまま、その持ち手だけ入れ替えるって言う感じ。こういうのはフォーメーションの移動中とか、踊りの振付があまり無い場面で行われることが多いです。歌と踊りと持ち替えの3要素を同時にっていうのは、流石になかなか難しいようです。
でも、歌唱も踊りもあるなかで瞬間的に持ち替える、っていう器用なのも、時々あります。いくつか紹介します。
まずは全員ユニゾンの場面から。
私立恵比寿中学の「なないろ」のサビ。持ち替えオタク目線だと見応えあります。
✂️ なないろ(私立恵比寿中学)サビの持ち替え - YouTube
この持ち替えは、指で数字の「7」を作るためですね。逆の手だと7にならないので。
ばってん少女隊「コトバテニス」のサビ持ち替えも、なかなかに鮮やかです。何度でも見たくなる。
✂️ コトバテニス(ばってん少女隊)サビの持ち替え - YouTube
ばっしょーさんは前々回に「無敵のビーナス」の持ち替えを紹介したんだけど、凝った持ち替えがまだまだありそうな印象。金脈って感じがしています。
振り、歌唱、持ち替えに、さらに移動もあって忙しいのが、
ukkaの「空想トラベル」の、ラスサビでの歌唱中持ち替え。
✂️ 空想トラベル(ukka)ラスサビの持ち替え - YouTube
カミテ側のふたりが後から加入した結城りなと葵るり。二人もこの1年ちょっとで大成長して、求められる難易度も本人たちのスキルも、もう先輩たちと変わらぬレベルです。
ukkaは新体制になってから持ち替えがすごく増えた印象で、最近の曲ではこういう細かいのが随所にある。
紹介するグループが偏ってきて申し訳ないなーとも思うんだけど、ただ、持ち替えの有無ってグループによるんです。ほとんどやらないグループもあれば、すごく細かく挟み込むグループもある。
スタプラだと、ukkaは最近めっちゃ多い。ばっしょーは最近よりも旧体制の曲でそこそこある印象。アメフラもマイク持つときはすごく多い。浪江も割とある。
逆に少ない印象なのが、とき宣、東北産、クラポ。ももクロ・エビ中・SHACHIはキャリアも長いし楽曲数も多いしで、傾向がわかんない。けど探せばけっこうあるんじゃないかと思います。
脱線しました。
ここまでユニゾンでの持ち替えをみてきたので、ソロでの歌唱中のものも紹介していきましょう。
ソロ歌唱中で、ってことは、より注目されながら、です。さりげない持ち替えをするは条件が悪い。あとマイクホールドもきちんとやって、しっかり声をのせなきゃいけないです。
それをクリアするメソッドのひとつが、両手持ちでマイクをかまえて歌って、そのまま反対側の手に渡すというもの。歌唱中に手の振付が無いときは、とても有効な手段です。
このタイプで好きなのが、
コズミック・フロート(ukka)の、葵るりの、サイダーブルーの星の持ち替え。(左持ち→両手持ち歌唱→右持ち)
✂️ コズミック・フロート(ukka)2A 葵るりの持ち替え - YouTube
気づかぬうちに持ち替えが完了していて、スマートです。種明かしされたときに「そうだったのかー!」となるアハ体験ポイントも高い。
こういう持ち替えは両手が一時的に塞がるのが難点。なのですが、るりちゃんのこのパートの振付は、手の動きを見せるものじゃなく歩きの演技って感じ。歩き方をドラマチックに演出してて、両手持ちの持ち替えが上手くハマります。
しかし当然ながら、がっつり手を使って踊る振付がついてる場合は、この両手持ちの技はつかえません。
いや、がっつり踊りつつソロパート歌いながら持ち替えも、って、その3つの両立は無茶でしょ!そんなのさせるのナンセンスでしょ!
でも、そんな神業を持ち前のスキルでこなすひともいます。
ここで唐突ですが、世界的スターのBTSさん見てみましょう。
ヘッドセットマイクがデフォルトっぽいけどたまにハンドマイクでもやる、BTSさん。やってます。
「Butter」(BTS)のサビあたまの持ち替え。
youtu.be✂️ Butter (BTS)のサビの持ち替え - YouTube
「♪sidestep right left to my beat」のとこ。完璧です。さすが鍛え上げられた韓流トップスター。
マイクホールドをブレさせず、踊りを止めず、視線キープして外さず、歌唱のない他メンバーのダンスとも引けを取らぬパフォーマンス。それも1サビの出だしのソロですよここ。曲の顔とも言えるパートです。文句なしにかっこいい。
でも、スタダアイドルも、けっこうなことをやってます。
スタプラ第2世代のハイスキル集団AMEFURASSHIさんの、マイク持ってるときバージョンをみていきましょう。
マイク手持ちバージョンのアメフラさんは、たいへん。なんか見てるとわかる、これはもう、すごくたいへん。
アメフラは、ダンスの表現のためにヘッドセットを導入した。で、その両手仕様の難しいダンスのついたパフォーマンスをハンドマイクでやりきろうってとき、無茶な箇所がでてくる。そういう意味ではBTSとも似た状況かもしれない。
曲によっては、マイク持つ手をシンメで合わせたいとか言ってられないぐらいダンス側の制約があって、マイクを右へ左へ避難させることでパフォーマンスをつくってたりする。
観察してるとおもしろいです。アドリブでできるわけないし、レッスンで確認検証しながら持ち替えを固めてるんですよね?
例としては「LOVE IS LOVE」とか。
1曲まるごと見ても面白いけど、なかでもすごいなぁと思ったのが、小島はなちゃんの「♪疑いなど 無い永遠の 命題LOVE IS LOVE oh.oh.oh.oh...」 のところ。
LOVE IS LOVE(AMEFURASSHI)の小島はなの持ち替え
✂️ LOVE IS LOVE(AMEFURASSHI)小島はなの持ち替え - YouTube
愛来とダンスをシンクロさせるために、持ち替えを繰り返す小島はな。難しいことをさも簡単そうに、それも視線を集めながらさらっとやってみせるのがかっこいいです。
これ、割り切って「命題LOVE IS LOVE」で左手を斜め下に1回下ろすことさえ諦めれば、持ち替え1往復が消滅してただの左持ちソロパートになるんですよ。ふつうなら割り切ると思うけど、小島さんは出来ちゃうんだもんなー。
あとついでに、アメフラの歌いながらの持ち替えをもういっこ。
mi-chi (AMEFURASSHI)の、「♪携帯の待ち受け見られてんだ」の持ち替え
✂️ mi-chi(AMEFURASSHI)愛来・小島はなの持ち替え - YouTube
わかります?このすれ違いざまの持ち替え。
あざやかすぎて、持ち替え違和感センサーが反応しないです。なにごともなかったみたいに思える。
市川優月さんがスタコミュで言ってたこと、「持ち替えより、ヘッドセットマイクのほうが簡単なんだよ」。それってこういうことなんでしょうか。
めちゃムズなダンスを、ヘッドセットとハンドマイク持ち替えとの両方でやってるアメフラにとっては、ヘッドセットのがまだ楽だ、ってことなんでしょうかね。
とんでもない次元の話してるなぁ…。
さて次回、第5講は、右手持ち派の持ち替え。たぶん最終回です。
アイドルは基本的に「左手マイク、右手ダンス」で訓練されているんですけど、
ほんとは右手にマイク持って歌いたい、ってタイプのひともいます。右持ちのほうがおちつく、とか自然に自分らしく歌える、とかってひと。
そういうひとを観察します。
(2023/04/08 追記)
第5講、書きました。こちらからどうぞ。