もうだめだblog

好きなアイドルの好きなところだけを書いていきたいブログ。ほぼukka(ex.桜エビ〜ず)のこと。

第5講、「右持ち派」の持ち替え ~マイク持ち替えオタク養成講座~

第5講です。最終回です。
こんなニッチな題材に長々とお付き合いいただき、ありがとうございました!

前回はこちら。

 目次はこちら。

 

 

さて、最後に取り上げるのは、「右持ち派の持ち替え」についてです。

これは、今まで紹介したような「振付で組み込まれた持ち替え」ではなく、そのひとがただ右持ちで歌いたくて、たぶん勝手にやってる持ち替え。

アイドルは、基本的にマイク左持ちで訓練される。
なのでたいてい、自然とマイク左持ちが体に染み付いていくのですが、「ほんとはマイク右手で歌いたい!」って人も、ごく少数います。
僕は便宜上「右持ち派のひと」みたいに呼んでます。

右持ちの方が歌いやすいとか、慣れてるとかおちつくとか、その人なりの何かがあるのでしょう。振付をあまりガチガチに縛らないスタイルのグループや、ダンスの比重が大きくないスタイルのグループなんかで、たまにそんな右持ち派のひとが生き残ってたりします。
とは言っても、そんな右持ち派も個人差があって、「隙あらば右持ち!」っていうひともいれば、「左でも不自由ないんだけど、どっちかといえば右のが歌いやすいかなー」ぐらいの五分五分に近いひともいます。


人には本来、右手でマイク持ちたいひとと、左手でマイク持ちたいひとがいる。
という例として、lyrical schoolさん(の、5人体制だったころ)を。リリスクでは、himeさんとminanさんが右持ち派でした。

・LAST DANCE(lyrical school

www.youtube.com

・LOVE TOGETHER RAP(lyrical school

www.youtube.com

蛍光グリーンのインナー着てるのがhimeさん、うす紫のadidasのシャツがminanさん。ふたりは右持ちがデフォルトなのがわかるとおもいます。
まあでも、リリスクさんみたいなスタイルならば、持ち手がどっちであれ何も問題ないです。


ダンスもしっかりあるグループでの「右持ち派のひと」だと、思い浮かぶのは、
これももう解散しちゃったけれど、prediaでそのボーカルで存在感を放っていた、湊あかねさん。
湊さんの場合は、「歌で100%の自分のパフォーマンスをみせたい、そのために右で持つ」って感じ。
湊さんの持ち替えは、それ自体がかっこいいです。絵になる。

・禁断のマスカレード(predia湊あかねの持ち替え

youtu.be

✂️ 禁断のマスカレード(predia)湊あかねの持ち替え - YouTube

・Dream of Love(predia湊あかねの持ち替え

youtu.be

✂️ Dream of Love(predia)湊あかねの持ち替え - YouTube


湊さんは、右に持つことを一種のスイッチにしているように見える。「行くぜ!今から歌うぜ!」っていう。
手慣れた感じでぱしっと投げ渡す持ち替えの手さばき、それ自体を演出にしていて、見てる側にも「来るぞ!」ってわくわく感をくれます。湊さんいつでもマイク投げ渡しがちなので、ほぼどのライブ動画でも、探せばこういうシーンが見つかります。


さて、僕がこういう話題を書くってことは、
お察しの通りスタプラにも、「右持ち派」がいます。CROWN POPの三田美吹さんがそう。

ソロで1曲うたう三田さんの姿が、第一回スタプラフェスのシンデレラ発表時のステージや、第二回でのオープニングパフォーマンスで確認できます。

・手のひらに青空(三田美吹)第一回スタプラアイドルフェスティバル 

youtu.be

・踊れ(三田美吹)第二回スタプラアイドルフェスティバル

www.youtube.com


見ての通り、ずーっと右持ちです。なのできっと、右にマイクを持って歌うのが、本来の三田さん自身にとっての自然なスタイル。

三田さんのいるCROWNPOPは、ダンススキルを特色としていて、かなりバシバシ踊るグループ。右手を振付につかう時間が多いので、グループでのパフォーマンスで三田さんが右に持って歌うシーンは、そう多くはないです。
多くはないけど、でもたまに、三田さんは右に持ちます。

意識的に持ち替えてる感じのprediaの湊さんに対して、三田さんの右持ちは無意識っぽい。「ついつい、右に持っちゃう」、って感じ。
三田さんイコール無意識的に右で持ちたがるひと、ってあたまに入れたうえで見ると、いとしさが増します。その人らしいちょっとした仕草に心くすぐられるやつ。

・僕らの証(CROWN POP)三田美吹の持ち替え

youtu.be

✂️ 僕らの証(CROWN POP)三田美吹の持ち替え - YouTube

・手のひらに青空(CROWNPOP)三田美吹の持ち替え

youtu.be

✂️ 手のひらに青空(CROWNPOP)三田美吹の持ち替え - YouTube


誤解をされたくないのでちゃんと記しておくと、
三田さんとクラポにかかわる皆様にはどうか、これをそのまま直さないでほしいです。これ大切な個性であって魅力であって、欠点とかじゃない。

ときどき右持ちする三田さんのままでいてくれ!僕は、それが好きなので!
いままで直す必要なかったはずだから。パフォーマンスを邪魔していないし、ていうかたぶん右持ちのほうが彼女らしく歌える。直そうとしたら変に気を取られて歌いづらくなるかもしれないし。無理に矯正して三田さんらしさを消したりは、しないでほしい。


このブログには、いいな!ステキだな!と思うことだけを、書いていきたい。
うーん、と思うことは書かないようにしてます。なので、三田さんはどうかそのままで…!


と、いうわけで、
クラポの運営さんエゴサこわいのでラストが私信っぽくなってしまいましたが、
このマイク持ち替えについての連載は、これにて終了です。

長々といろいろ書いたけれど、結局のところ僕は、そのグループらしさ、その人らしさ、が見えるマイク持ち替えが好きです。
グループとしての価値観とか美学とか、その人の個性とか人柄とか、そういうのをなんとなく感じ取れるものが好き。

「マイク持ち替え」に、少しでも興味を持っていただけたら、嬉しいです。沼で待ってます。

第4講、歌唱中に行う持ち替え ~マイク持ち替えオタク養成講座~

持ち替えオタク講座も4回目です。まだまだ、語りたいことが尽きないです。
前回はこちら。

目次はこちら。


さて、
ここまではダンス中の持ち替えを紹介してきましたが、今回扱うのは歌唱と持ち替えを同時にこなすやつです。普通のよりむずい。

歌唱中なので、マイクは口元にホールドさせたまま、その持ち手だけ入れ替えるって言う感じ。こういうのはフォーメーションの移動中とか、踊りの振付があまり無い場面で行われることが多いです。歌と踊りと持ち替えの3要素を同時にっていうのは、流石になかなか難しいようです。

でも、歌唱も踊りもあるなかで瞬間的に持ち替える、っていう器用なのも、時々あります。いくつか紹介します。

まずは全員ユニゾンの場面から。

私立恵比寿中学の「なないろ」のサビ。持ち替えオタク目線だと見応えあります。

youtu.be

✂️ なないろ(私立恵比寿中学)サビの持ち替え - YouTube

この持ち替えは、指で数字の「7」を作るためですね。逆の手だと7にならないので。

 

ばってん少女隊「コトバテニス」のサビ持ち替えも、なかなかに鮮やかです。何度でも見たくなる。

youtu.be

✂️ コトバテニス(ばってん少女隊)サビの持ち替え - YouTube

ばっしょーさんは前々回に「無敵のビーナス」の持ち替えを紹介したんだけど、凝った持ち替えがまだまだありそうな印象。金脈って感じがしています。

振り、歌唱、持ち替えに、さらに移動もあって忙しいのが、
ukkaの「空想トラベル」の、ラスサビでの歌唱中持ち替え。

youtu.be

✂️ 空想トラベル(ukka)ラスサビの持ち替え - YouTube

カミテ側のふたりが後から加入した結城りなと葵るり。二人もこの1年ちょっとで大成長して、求められる難易度も本人たちのスキルも、もう先輩たちと変わらぬレベルです。
ukkaは新体制になってから持ち替えがすごく増えた印象で、最近の曲ではこういう細かいのが随所にある。


紹介するグループが偏ってきて申し訳ないなーとも思うんだけど、ただ、持ち替えの有無ってグループによるんです。ほとんどやらないグループもあれば、すごく細かく挟み込むグループもある。
スタプラだと、ukkaは最近めっちゃ多い。ばっしょーは最近よりも旧体制の曲でそこそこある印象。アメフラもマイク持つときはすごく多い。浪江も割とある。
逆に少ない印象なのが、とき宣、東北産、クラポ。ももクロエビ中・SHACHIはキャリアも長いし楽曲数も多いしで、傾向がわかんない。けど探せばけっこうあるんじゃないかと思います。

脱線しました。
ここまでユニゾンでの持ち替えをみてきたので、ソロでの歌唱中のものも紹介していきましょう。

ソロ歌唱中で、ってことは、より注目されながら、です。さりげない持ち替えをするは条件が悪い。あとマイクホールドもきちんとやって、しっかり声をのせなきゃいけないです。

それをクリアするメソッドのひとつが、両手持ちでマイクをかまえて歌って、そのまま反対側の手に渡すというもの。歌唱中に手の振付が無いときは、とても有効な手段です。

このタイプで好きなのが、
コズミック・フロート(ukka)の、葵るりの、サイダーブルーの星の持ち替え。(左持ち→両手持ち歌唱→右持ち)

youtu.be

✂️ コズミック・フロート(ukka)2A 葵るりの持ち替え - YouTube

気づかぬうちに持ち替えが完了していて、スマートです。種明かしされたときに「そうだったのかー!」となるアハ体験ポイントも高い。
こういう持ち替えは両手が一時的に塞がるのが難点。なのですが、るりちゃんのこのパートの振付は、手の動きを見せるものじゃなく歩きの演技って感じ。歩き方をドラマチックに演出してて、両手持ちの持ち替えが上手くハマります。


しかし当然ながら、がっつり手を使って踊る振付がついてる場合は、この両手持ちの技はつかえません。
いや、がっつり踊りつつソロパート歌いながら持ち替えも、って、その3つの両立は無茶でしょ!そんなのさせるのナンセンスでしょ!
でも、そんな神業を持ち前のスキルでこなすひともいます。

ここで唐突ですが、世界的スターのBTSさん見てみましょう。
ヘッドセットマイクがデフォルトっぽいけどたまにハンドマイクでもやる、BTSさん。やってます。

「Butter」(BTS)のサビあたまの持ち替え。

youtu.be✂️ Butter (BTS)のサビの持ち替え - YouTube

「♪sidestep right left to my beat」のとこ。完璧です。さすが鍛え上げられた韓流トップスター。
マイクホールドをブレさせず、踊りを止めず、視線キープして外さず、歌唱のない他メンバーのダンスとも引けを取らぬパフォーマンス。それも1サビの出だしのソロですよここ。曲の顔とも言えるパートです。文句なしにかっこいい。


でも、スタダアイドルも、けっこうなことをやってます。
スタプラ第2世代のハイスキル集団AMEFURASSHIさんの、マイク持ってるときバージョンをみていきましょう。

マイク手持ちバージョンのアメフラさんは、たいへん。なんか見てるとわかる、これはもう、すごくたいへん。
アメフラは、ダンスの表現のためにヘッドセットを導入した。で、その両手仕様の難しいダンスのついたパフォーマンスをハンドマイクでやりきろうってとき、無茶な箇所がでてくる。そういう意味ではBTSとも似た状況かもしれない。
曲によっては、マイク持つ手をシンメで合わせたいとか言ってられないぐらいダンス側の制約があって、マイクを右へ左へ避難させることでパフォーマンスをつくってたりする。
観察してるとおもしろいです。アドリブでできるわけないし、レッスンで確認検証しながら持ち替えを固めてるんですよね?

例としては「LOVE IS LOVE」とか。
1曲まるごと見ても面白いけど、なかでもすごいなぁと思ったのが、小島はなちゃんの「♪疑いなど 無い永遠の 命題LOVE IS LOVE oh.oh.oh.oh...」 のところ。

LOVE IS LOVE(AMEFURASSHI)の小島はなの持ち替え

youtu.be

✂️ LOVE IS LOVE(AMEFURASSHI)小島はなの持ち替え - YouTube

愛来とダンスをシンクロさせるために、持ち替えを繰り返す小島はな。難しいことをさも簡単そうに、それも視線を集めながらさらっとやってみせるのがかっこいいです。
これ、割り切って「命題LOVE IS LOVE」で左手を斜め下に1回下ろすことさえ諦めれば、持ち替え1往復が消滅してただの左持ちソロパートになるんですよ。ふつうなら割り切ると思うけど、小島さんは出来ちゃうんだもんなー。

あとついでに、アメフラの歌いながらの持ち替えをもういっこ。

mi-chi (AMEFURASSHI)の、「♪携帯の待ち受け見られてんだ」の持ち替え

youtu.be

✂️ mi-chi(AMEFURASSHI)愛来・小島はなの持ち替え - YouTube

わかります?このすれ違いざまの持ち替え。
あざやかすぎて、持ち替え違和感センサーが反応しないです。なにごともなかったみたいに思える。

市川優月さんがスタコミュで言ってたこと、「持ち替えより、ヘッドセットマイクのほうが簡単なんだよ」。それってこういうことなんでしょうか。
めちゃムズなダンスを、ヘッドセットとハンドマイク持ち替えとの両方でやってるアメフラにとっては、ヘッドセットのがまだ楽だ、ってことなんでしょうかね。
とんでもない次元の話してるなぁ…。


さて次回、第5講は、右手持ち派の持ち替え。たぶん最終回です。

アイドルは基本的に「左手マイク、右手ダンス」で訓練されているんですけど、
ほんとは右手にマイク持って歌いたい、ってタイプのひともいます。右持ちのほうがおちつく、とか自然に自分らしく歌える、とかってひと。
そういうひとを観察します。

(2023/04/08 追記)
第5講、書きました。こちらからどうぞ。

mou-dameda.hatenablog.com

 

第3講、踊るためのマイク持ち替え(後編) ~マイク持ち替えオタク養成講座~

この講座も3回目です。お付き合いありがとうございます。
当初の予定では3回ぐらいで書き終る予定だったけど、現時点の構想では全5回です。もっと増えるかもしれない…。

前回はこちら。

mou-dameda.hatenablog.com

 

で、今回の内容は、
持ち替えには「持ち替えで見せたい理由」がある。その、「理由」を想像しよう、というお話です。
前回で紹介したシンメの持ち替えは、その理由が想像しやすい。基本的には「シンメをきれいに見せたい!」というところに着地します。
でも、シンメ以外の持ち替えというのも存在して、そこにも、そうする理由があるはずです。だって持ち替えは、煩わしい、できれば避けたいものだから。

この連載のまえがきで書きました。「オタクとは、そこに自分なりの価値を見出すひと。」です。なにかに着目して、考えて、なにかを見出すんすよ。想像しましょう!

 

まあそんなわけで今回は、僕の根拠のない仮説がいつも以上に大暴走な回になります。この先に書いてあることに確たる証拠はないんで、ご了承を。

じゃあ、始めます。まずはこちらをご覧ください。

ニューフィクション(ukka)の、
茜空ちゃんの「どうしたらいいのーー!」のロングトーンパートのところ。

youtu.be

✂️ ニューフィクション 川瀬あやめの持ち替え - YouTube

茜空ちゃんの歌う背後から、眼力つよい川瀬あやめちゃんが左手を振り下ろすの、見えますよね。

そう、左手なんですよ。「左手でなにかやってる!」ってだけで、持ち替えのオタクはスイッチが入ります。

ここ、持ち替え状態になっているのは、この手を振り下ろす動作1つだけなんです。たったこれだけのために右に持ち替え、おわったらまたマイクを左手に戻してる。しかも左手を出すのは、あやめちゃんだけです。残りの4人はみな、持ち替えずに右手を出してる。
ニューフィクションは撮可の動画がYoutubeにいっぱいあるので、気になる人は確認してください。正面付近から撮影されたものがあったので、置いておきます。

youtu.be

✂️ ニューフィクション あやめ持ち替え(正面) - YouTube

「なんで?」って思いませんか?
「そこ、あやめちゃん持ち替え必要なの?」って。「なぜ、あやめちゃんだけが?」って。こういうのをめちゃめちゃ考えるんです僕は。

これ、結論をいうと、「お客さんから見えるように」です。

このロングトーンパートのあと、次のユニゾンで横一列に並ぶとき、あやめちゃんは空ちゃんのひとつカミテ側に入ります。
それを見越して、ロングトーンのときには、あやめちゃんは空ちゃんの真後ろにカブらないように、真後ろよりややカミテ側に立つ。上の動画でも、空ちゃんの左足あたりにある、ゼロ(ステージ中央)を示すバミリから確認できます。手を振り下ろす直前の倒れ込む動作も、カミテ側へ顔を出すようになってる。
なので、振り下ろす腕は、カミテ側から出す左手にしたほうがいい。右手を振るのでは空ちゃんの後ろに隠れてしまう。

たぶん、そういう理由で設計されてるんだとおもう。
ukkaというグループは、そういうところにも配慮を持って、振付や見せ方を作っている。この持ち替えはそれを垣間見れる良い例だと思います。

持ち替えを観察していると、たまに、思いもしなかった何かにたどり着いたりします。「持ち替えてる、ってことは、何かのこだわりがあるはず。」と意識することで、なにかが見つかることがあります。

もう一個いきましょう。これは、前のやつほど確かな答えに行き着いていないけれど。

Just mean it!(ばってん少女隊)の、
りるみゆの右持ち歌唱「涙したらもう揺るがない~」のところ。

youtu.be

✂️ Just mean it! りるみゆの持ち替えソロ - YouTube

これって、どういう理由でふたりは右持ちなんでしょうかね。
直前の愛ちゃんパートはみな左持ちで踊ってるので、この歌唱パートの場面のために持ち替えを行った、というのは確かです。

深い意味はないかもしれないけど、しいて理由を考えるなら、ここでは、りるあちゃんがみゆちゃんの肩に手を置く絵をつくりたかった、ってことでしょうか。ここはこのポーズで、りるみゆにキメキメで立ってもらう、っていうプランなのかも。
もしそうだとしたら、このパートの今後がたのしみです。りるみゆの二人が、今よりもっとバチバチのオーラをその身に纏うようになったとき、このパートは化ける、そう期待したくなります。

…と、そんな深読みをしだしちゃうのが持ち替えの沼です。
深読みや妄想のネタが、持ち替えの世界には転がってます。「もしかして、そういうことなの?」と気づくと、その場面への思い入れが強くなる。「ここを見たい!」って思えるものが増えてく。


ここまで講座についてきてくださったかた、
こんなに持ち替えばかり見させられたら、さすがに少し目が慣れてきているはずです。
あれっ?と思うような、意図の掴めない持ち替えを偶然みつけたときは、なぜそうするのか考えてみてほしいです。なにか、見つかるかもしれないです。


さて次回は、
「踊りながら歌うために行う持ち替え」についてです。
右手左手を駆使する振付を踊りつつ、歌う。そのために歌唱の途中に持ち替える。
踊り、歌、持ち替え、の3つを同時にこなす、やばいやつです。アイドルってすげぇな!ってなる。

(2023/04/06 追記)
第4講、書きました。こちらからどうぞ。

mou-dameda.hatenablog.com

 

第2講、踊るためのマイク持ち替え(前編) ~マイク持ち替えオタク養成講座~

第2講です。ついてきてくれてるでしょうか。
目次はこちら。

 

 で、前回はこちら。

前回のエントリーのおわりに、
次からは持ち替えを3つに分けて話をすすめていく予定です、と記しました。

・踊るための持ち替え
・歌いながら踊るための持ち替え
・歌うだけのための持ち替え

この順にすすめてまいります。


「踊るための持ち替え」
というのはすなわち、振付の表現に左手をつかうために、邪魔なマイクをその手からどかす持ち替えのこと。いちばんよくある、オーソドックスな持ち替えです。

で、なかでも多いのが、
シンメトリーなカタチになるシーンで、よりバランスよく綺麗にみせるために行う持ち替え。
第1講でもいくつか例示しました。以後こういうのを、「シンメ持ち替え」としましょう。

あ、シンメだからって必ずしも持ち替えるとは、限らないです。そこは前後の振付の流れだったりとか、またそのひとのダンススキルとか、いろんな兼ね合いで。

で、持ち替えオタクは、このシンメ持ち替えの状態を見つけては、「あーシンメで持ち替えてるな、バランス良いな、見栄えにこだわってて推せるなー。」とか思うわけです。
ただ、シンメ持ち替えは、持ち替えの中では珍しいものじゃない。言ってみれば、見慣れた持ち替えです。そう毎度毎度感激するでもない。

けれど、その持ち替えをどうやって実現しているか、によっては、また感激の度合いが変わってきます。「ここでこうやって持ち替えたのか!」という驚き。

 

持ち替え動作を行うタイミングやシチュエーションというのは、いくつか定番があります。

・移動中にさりげなく持ち替える
・ターンしながら持ち替える
・他のメンバーに視線が集中するタイミングをねらう
・後ろを向いてるときや、しゃがんでいるときに持ち替える

なんてのが多いです。覚えておきましょうテストに出ます。
なるべく目立たぬようにこっそりと、またはさりげなくスマートに、と考えると、それを実行する方法はいくつかの似たようなパターンになりがち。
手品師の手法みたいなものですよね。死角をついたり、他のところに目が行くようにしたり。

なので、そんな持ち替えの頻出シチュエーションがなんとなくわかっていれば、あるていど、「ここかな?」って想像がつく。
手品のタネを探り明かすときみたいに。「たぶんあそこのタイミングで持ち替えたんだろうなー」って。

だけど、それがすぐにはわからないときがある。一見持ち替えのチャンスなどなさそうに思える。
そういう、こちらの想定の範囲を超えてくる、鮮やかな技やアイデアで実現している持ち替えは、ポイント高いです。

そんな芸術点の高い持ち替えとして紹介したい、とっておきのが、これです。

無敵のビーナス(ばってん少女隊)の、1番Aメロ。

該当部を繰り返し見れるように、抜き出したCLIPも置いときます。

✂️ 無敵のビーナス1Aの持ち替え - YouTube

瀬田さんの歌い出しのところ、ダンスがシンメになっています。
マイクを右に持ち替えて踊っているのは、シモテ側のふたり。シモテ前列が希山さん、奥にいるのは星野さんで、今の体制だと柳さんがここに入ります。

希山さん星野さんが、マイクを左手に戻した瞬間がどこか、わかりますか?
ダンスの連続性を一切壊さない、シームレスな右持ちから左持ちへの移行。持ち替えのないシモテ側3人のダンスと一緒に見ても、全体に違和感ひとつない。おみごととしか言いようのがないです。こういうのめっちゃ好き。

これを紹介するだけで今日はわりと満足なんですが、
ついでにもうすこし、シンメ持ち替えの動画を載せときます。シンメ持ち替えの話は今回で片付けてしまいたいので。見てってください。

 

・時間。光り輝く螺旋の球。(ukka)サビの持ち替え 

youtu.be

✂️ 時間。光り輝く螺旋の球。サビの持ち替え - YouTube

「♪無限の星くず 弾けて~」で、左右でグーパーしているメンバーがシンメ持ち替えです。ここをわざわざ持ち替えてバランスを整えるのは、振付をつくった水春のこだわりが表れているように思います。


・勇気のシルエット(3B junior)冒頭の持ち替え

www.youtube.com

✂️ 勇気のシルエット イントロの持ち替え - YouTube

センター、奥澤レイナの持ち替え。これもシンメ持ち替えの一種になるでしょうか。
これがもし持ち替えなしで、振り出す左手がマイク持ったままだったとしたら、「勇シル」に説得力は生まれないはずです。
持ち替えの振付を決める動機って、バランスや美しさの追求だけじゃないです。その手を出すことに意味があるんだ、ってときもきっとある。

さて次回、第3講は、
「踊るための持ち替え、の、シンメじゃないやつ」編。
シンメじゃない。シンメを綺麗に見せたくてやる持ち替えじゃない。なにかほかの狙いがあって行う持ち替え。

けど、そこには「ここは持ち替えで見せたい!」というなにかしらの意図がきっとある。たぶんある。その意図を深読みしよう的な話をしたいです。


(2023/04/02 追記)第3講、書きました。どうぞー。

mou-dameda.hatenablog.com

 

 

第1講、持ち替え(=右持ち)の見つけかた ~マイク持ち替えオタク養成講座~

始まりました、マイク持ち替えオタク養成講座。

最初は、持ち替えの見つけかたです。基礎!って感じの内容になっちゃいますが、立派な持ち替えのオタクになるべく、とにもかくにもまず、持ち替えを見つける目を養いましょう。


それには、イントロです!!

持ち替え、すなわちマイクを右手に持つ状態って、イントロで発生しやすいんですよ。

曲をつくるひとって、イントロめっちゃ重視してたりしますよね。曲の第一印象、つかみ。
同じように振付をつくるひとにも、イントロ部分はこだわりどころだと思うんです。
フォーメーション、ポーズ、動き、…いろいろアイデアを駆使して、初めて見る人に「おっ?」と気をひかせる。知ってるファンには「あの曲がきた!」と思わせる。
それに、イントロは振付づくりに制約がない。歌唱がないからマイクの構えを気にしなくていいし、曲あたまなので前の流れを考えず立ち位置とかも自由に決められる。コレオグラファーにとっての、腕の見せ所だとおもいます。
特徴的・個性的な始まりかた、印象に残る振付や動き、どのアイドルを推すオタクでも、なにか思い当たるものがあるはずです。

そんなことから、イントロは、本来なら避けるべきイレギュラーな「マイク右持ち状態」が比較的発生しやすい、って気がします。AメロBメロサビとかよりも、たぶん。


あとまぁ、紹介しやすいです。動画の最初だから、見ていただくのに都合がいい。

というわけで、
イントロでの右持ちがよくわかる曲をいろいろ、動画をまじえて紹介していきます。


例1)ハイタテキ(私立恵比寿中学

www.youtube.com

古い動画で恐縮だけど、手元がよく見えるので、これで。
最初のポーズで高く伸ばす手が右手のひとと、左手のひとがいます。この、出された手の違いを見つけることが、持ち替え状態発見のすべての基本です。
この映像だと、左手を上げている中山さん・松野さん・真山さんが、右持ち状態になってますね。こういうのを見つけていきます。

ちなみに、ハイタテキはBメロでも持ち替えがあります。「♪ある朝突然~」のところ、前を向いて立つひとと後ろ向きのひとが同じ側へ手を出してるのがわかるとおもいます。

例2)MOON PRIDEももいろクローバーZ

www.youtube.com

最初の決めポーズ、玉井さん高城さんは左手を出しているので右手持ちですね。この動画はZZver.だけど、5人のときもほぼ同じ振付構成です。

ももクロは、イントロや曲あたまに持ち替えが発生する曲がけっこうあります。マホロバケーションとか、仮想ディストピアとか、ミライボウルとかPUSHとか。
出だしの振付づくりにちからをいれがちなのかも。個性的な振付が多くてたのしいです。

例3)桜梅桃李夢物語(浪江女子初組合)

www.youtube.com

シンメトリーな振付のとき、マイクが見えなかったら、そこには右手持ちが発生しています。持ち替え探しに便利な法則です。
これは特にわかりやすいやつ。画面右(カミテ側)の4人が右持ちスタートです。
これ、どこで左持ちに直したのか不思議でした。「♪おーばいとーりゆーめものがたりっ」の両手で花をつくるところで、振付でカモフラージュしながらマイクを左手に戻しているんです。そういうのポイント高いです。

例4)AM0805の交差点(ukka)

www.youtube.com

前へ振り向いてすぐのところ、最初に挙がる手がシンメなので持ち替えです。右持ちなのはカミテ側の3人ですね。
ですが、その一瞬が終わったらすぐ全員が左持ちになっています。
で、歌い出し「お砂糖入りの~」で出す手が、またシンメで違うパターンになってます。誰がどのタイミングで持ち替えたのか、探してみてください。

 

例5)ケセラセラっ!(CROWN POP)

www.youtube.com

これもシンメの立ち位置でマイクの持ち手が逆になるパターン。で、さらに途中で持ち替えも行っているやつ。「カモン!」のあとで持ち替える里奈・藤田愛理の動きが映っています。
さっきと逆の手が出てきたら、それは持ち替え。
画面左端の藤田さんは短い時間に左右左と持ち替えてるんだけれど、それを振付の流れの中にうまく組み込んでいて、おみごとです。


と、こんなかんじで色々みていくと
なんとなく、持ち替え状態を発見する感覚が掴めてくるんじゃないかとおもいます。どうでしょうか。
上がる手やマイクを持つ手を見て、そこに違和感を感じ取れるようになってきたら、こっちのもんです。

いずれ訓練を重ねると、
「このフォーメーションは!」(あの曲だ…!)
ではなく
「このフォーメーションは!」(持ち替えだ…!)
になってくるかもしれません。だいぶやばいです。

ところで、
マイクを右へ持ち替えた状態で始まる曲は、多くの場合、歌い出しまでに左手に戻すことになります。
その戻しかたや戻すタイミングはけっこうシビアで、「ここしか無い!」っていう最適解に収束します。

アイドルの振付はだいたい、めいっぱい動きの要素を詰め込まれてる。そのなかで、振付を邪魔せず、目立たずさりげなく、なおかつ確実に、マイクの持ち替えができるタイミングは、非常に限られます。
限られた瞬間を突く持ち替えを見つけて、「ここでいくのかー!なるほどー!」って感激するのも、僕の持ち替え観察のたのしみかたのひとつです。
流れの中で鮮やかに持ち替える振付は、もう芸術!って思う。そういうのはこの講座の第3回あたりで紹介しようとおもってます。

持ち替え状態を発見するのは、あるていどセオリーやパターンもあるし、難しくないです。
けど、持ち替えを行う瞬間を見つけるのは、むずかしいです。基本的には目立たぬように持ち替えるものだし、曲も振付もさまざまで法則性もないし。

でもせっかくなので、その瞬間を見つける楽しさも知ってほしい。

例1のハイタテキ。真山さんが左にマイクを戻すことが可能なタイミングは、あのイントロの中で1回だけです。どこでしょうか。

ここかー!! ってなるとたのしいですよ。少なくとも僕は。
謎解きとかアハ体験とかみたいな、脳みそが喜ぶ感覚が、たまにあります。


というわけで、
基礎知識ばっかしであんまり面白みのなかった第1回はここまでです。おつかれさまでした。

次回からは、持ち替えを3つに分類して、それぞれの特徴とか、魅力的と思う持ち替えシーンとかを紹介する予定です。

・踊るための持ち替え(よくあるやつ)
・歌いながら踊るための持ち替え(難易度たかいめ)
・歌うだけのための持ち替え(主にクラポの三田さんのこと)

の3分類で、すすめていきます。どうか、ついてきてください!



(2023/04/01追記。)続きを書きました。こちらよりどうぞ。

 

 

マイク持ち替えオタク養成講座 ~まえがきと目次~

おまたせしました!待ってました!
いや待ってないことは知ってます。いいんです。やります。マイク持ち替えオタク養成講座です!
前のブログを割とたくさん(当社比)読んでもらえたので、この機に乗じて持ち替えことを語り尽くそうと思います。

語りたいことがマジで多すぎる!
今を逃したらこの話を吐き出す機会が一生ない!
でもブログはテーマを絞って書いていきたい!

なので、何回かに分けます。連載です。
連載になっちゃうので、このエントリーの後ろ半分をその目次代わりにします。執筆が進み次第、各回へのリンクを並べていくつもりです。

前半は講座の序章として、「マイク持ち替えのオタクってなんぞや?」という、そもそも的な話を軽く書かせてください。
では、「マイク持ち替えオタク養成講座」、はじめます。



オタクとは、
そこにあるなにか、に、自分にとっての価値を見出すひと。っていうのが僕なりの定義です。

なので、
マイク持ち替えのオタクは、マイク持ち替えに価値を見出すひと、です。見出すのです。あるとかないとかじゃない、見出すんすよ!!
アイドルのステージパフォーマンスのなかに織り込まれたマイクの持ち替えのシーンに着目し、そこからなんかしらを見出して「このひとすげぇな!」「このグループすげぇな!」とか思う。この講座はそういう楽しみ方のご提案です。


.。oO(マイク持ち替えって、そんなに良いものなの…?

って、率直な疑問が湧いてくるかもしれません。
いや知らん。持ち替えそのものは、良いものでも良くないものでもないです。

するほうが綺麗に見えるとか、しないでいける振付のほうが優秀だとか、そういうのは状況や考え方次第で、一概にいえるものじゃないです。持ち替えるにせよ持ち替えないにせよ、そのときの最適なパフォーマンスをすることが、アイドルにとってただしい。


ただ、持ち替えは、観察・考察の対象となりうる。

前提として、持ち替えはめんどい、煩わしい、かったるい、できれば避けたい。そういう存在だとおもう。
だから、その面倒さのマイナスを超えるリターンがなければ、わざわざ持ち替えはやらないです。
仕方なくやるもの…とまでは言わないけれど。ともかく、基本的には無いのが自然で、やったほうがいい、との判断がなされたときにだけ、持ち替えは発生します。
「ここは持ち替えなきゃ振付が成り立たない」とか、「手間だけど、持ち替えたほうが見栄えが良さそうだ」とか。そういう理由が大なり小なりあって、持ち替えは起こる。そんな存在です。

持ち替えには、起こる理由がある。
なのでオタクには、その理由や判断を想像する余地がある。
持ち替えには、手間がかかる。
なのでオタクには、その手間への対処の仕方を観察する余地がある。

だから、持ち替えに着目することはおもしろいです!僕には!

でも全ての人にとっておもしろいかは、正直わかんない。オタクが興味を持つものはたいてい、万人受けはしないし。
ともかく、これを面白く思えるひとには、持ち替えオタクになれる才能があるはず。


というわけで以下、先に書いた持ち替え関係のエントリーと、持ち替えオタク養成講座の各回の紹介となります。
書き上がり次第、順次リンクを貼っていきますので、よろしくどうぞ。

【マイク持ち替えオタク養成講座】

 
【マイク持ち替え関連エントリー

 

 

マイク持ち替えのオタクからみたヘッドセットマイクと、その使い手AMEFURASSHI

茜空ちゃんは昔はマイクが重いからと右手に持ち替えてたそうです。
市川優月さん!あんな狂気じみたブログを楽しんでいただけたなら光栄です。

なんのことか知りたかったらスタコミュに1100円/月を課金してください。

2:12:00あたりから、こんな辺境のブログを何故か見つけて読んでしまった市川さんの反応が聴けます。くっそ恥ずかしいんですけど、たいへんありがたいことです。

空ちゃんとの話の中で、「ヘッドセットのほうが簡単なんだよ」って謙遜する市川さん、できたひとだなぁ、と思いました。もし僕だったら絶対、そうなんだよ簡単じゃないんだよ!って言う。しつこいくらい言う。

なので、ここに書きます。
市川さん、アメフラのヘッドセットマイクはちゃんとすごいっすよ?!



えー、その、僕の前回のブログ。長いしヘビーなので、いつか体調のいいときに読んでいただければ。

mou-dameda.hatenablog.com

内容ざっとまとめると、
「アイドルは基本的に左手にマイクを持ち、右手で踊る」
「右手に持ち替えて左手を使って踊ることは、表現へのこだわりの顕れだ」
「で、ukkaのニューフィクションは、その持ち替えがめちゃめちゃ多いんですよ」
って話です。
持ち替えと、左手を使うことに着目すると、みえてくるものがいろいろあって面白いんです。

で、持ち替えの話を熱く語るとき、想定されるツッコミがあります。

「そんなに言うんならもう、ヘッドセットマイクでよくない?」

これです。これなー、まぁわかるのよこれも。
まずこれについて、ちゃんと整理しておきたい。

ヘッドセットマイクの利点は、両手がフリーになることです。
持ち替えから開放されるだけでなく、常に、両手を使ってのパフォーマンスが可能になる。

持ち替えで到達できるのは、所詮、「常に、どっちか片方の手を使える」までです。
それに対し、常に両手があくヘッドセットマイクは、持ち替えの手間の解決、の域を超えてもう革命です。そうなったらもう、振付から何からすべて、常に両手を使えちゃう前提で組み立てますよね。片手じゃできないアクロバチックなことも可能になるでしょう。小道具を持ったりとかも、なんだってできちゃう…!


それでじゃあ、欠点はないのか、というと…。
僕が見てて感じるヘッドセットマイクのいちばんの欠点は、「いま誰が歌ってるのか分かりづらい」というところです。

マイクを構えるとか、歌唱のために片腕の動きを止めるとか、それは視覚情報です。けっこう重要。
どうしても僕らお客さんや視聴者は、「マイクを構えてる=歌ってる」の認識に慣れてしまってます。音を聞きながらステージを、またはテレビ画面なんかを見てるとき、とりあえずマイクを構えてるひとに注目して、そこで、目で捉えている姿と聞こえる歌声とが一致します。

ヘッドセットマイクって、この視覚情報がぼんやりしがちになる。するといまいち歌が頭に入ってこなくなったり、「この人の歌をいま聴いている」という臨場感やリアリティをうまく感じとれなかったりして、これがなかなか曲者なんです。
ももいろ歌合戦の、ダンス選抜の「根も葉もrumor」や「元カレです」を見てるとき、その臨場感の乖離をすごく感じた。無論、あれはその日だけの急造のユニットだし、慣れた曲ではないし、って部分はあるのだけれど。


で、AMEFURASSHIの話。
スタプラで唯一、というか日本のアイドル界を見渡しても珍しい、ヘッドセットマイクをがっつり取り入れてるアメフラさん。
アメフラのチームは、その問題をちゃんとわかってて、ちゃんと解決させてる。

「誰が歌ってるか分かりづらい」という問題。それをアメフラさんは、個々の表現や全体の演出でカバーしながら、ヘッドセットマイクを使う利点を最大限に活かすパフォーマンス・ステージングを追求しているように感じていて、僕はアメフラさんの挑戦を好意的に見てます。

例を挙げると、
ARTIFICIAL GIRLのライブ映像は、そういうソロを引き立たせる見せ方の上手さをめちゃめちゃ感じました。

www.youtube.com

各々がソロのパートで「いまここは私を見ろ!」っていうのを押し出すパフォーマンスをするし、個人の力量だけじゃなく演出や構成とかでも、ピンスポットライトの照明あてたり、歌うひと以外は後ろを向かせたり顔を伏せたり、フォーメーションを1対3にしたり。そうやっていろんな方法を駆使して、歌うひとに目線を持っていく。

それと、振付だけで言ったら、これ。DISCO-TRAINの振りV。

www.youtube.com

この振り動画、たまによく見てます。すごいと思った。
誰が歌ってるのか、誰を見てほしいのか、全部ちゃんとわかる。なんなら無音で見ても、いま誰のパートなのかおおよそ把握できると思う。

歌い出しで、小島はなちゃんだけ屈まないのも、
1サビ後半では、愛来が3人よりちょっと前に出るのも、

踊りかた・立つポジション・顔の向き…、そういう要素ひとつひとつが、歌う人をひき立たせるためのもので、めっちゃ計算高い。DISCO-TRAINは初めから終わりまでずっと、それが徹底されてる。

あと付け加えると、アメフラさんは4人という人数だからこそ、こういう工夫が効くよね。人数が増えるほど、この「誰が歌ってるのか分かりづらい」の問題は肥大化して、解決しづらくなるから。

それと、また別の問題になるけど
ヘッドセットマイクを使えない環境っていうのが、どうしてもでてくるんですよね。
なので普通のハンドマイクでもパフォーマンスできるように、その準備もしておかなきゃいけない。振付やパフォーマンスをヘッドセットマイク用に特化させすぎると、ハンドマイクでやるのが難しくなる。
両手フリーで踊るのと、片手でマイクホールドして踊るのじゃ、だいぶ勝手が違うはず。それを両対応してるアメフラすごいと思う。


そんなわけで、
ヘッドセットマイク、きっと甘いもんじゃないです。
ヘッドセットマイクにも難しさがあって、活かすためのノウハウがいる。
何が適しているかはグループの性格や特徴などにも依るし、見る側の慣れの問題もあるかもしれない。好みもある。一長一短です。
ただ導入するだけで全て解決!万能!最強!ってわけじゃないと思います。

 

AMEFURASSHIがヘッドセットマイクを導入した理由は、
4人という少人数体制になったことで、両手を使うパフォーマンスで迫力をもたせたかった、という狙いがあってのことだそう。
「うちはこれでいく!」って決めたら、それを貫き、そのやりかたを極めていく。そういうアメフラがかっこいいなと思います。


でも、
それ言ったらじゃあここまでの話はなんだってなるけど、

僕は、やっぱ持ち替えが好きなんすよ!
そこに意図を感じられる持ち替えが、なんかたまらなく良いんすよ…!

まぁそれはまた、好みの問題だから。
というわけで、次回は、持ち替えのオタク養成講座です。君も持ち替えのオタクになろう!


(2023/03/29 追記)養成講座、はじめました。