新しい「さいしょのさいしょ」に隠し入れられた振付師の遊び心
Zeppのライブ動画を見直してびっくりしたことの話、その2です。
その1は、前回のこちら。今日のエントリーとはそう関連していないので、まぁお暇な時にでも。
で、今日のエントリーでは、「さいしょのさいしょ」の、4人verの振付のことを掘り下げていきます。そんでもって、桜エビ~ず結成当初からの振付担当/ダンス指導のサトミ先生を誉め称えたいです。これ、気づいた人います?
「さいしょのさいしょ」の間奏には「桜エビ~ず12ヶ月連続新曲配信」の12曲の振りが入ってることは、知ってますよね?
知ってる前提で、話を進めたい。
進めたいけどちょっと乱暴なので、予備知識としてかんたんに紹介します。知ってる人はこのブロック読み飛ばしてOKです。
「さいしょのさいしょ」は、12曲連続配信の最後を飾る曲。
この曲の発表当時からのファンには、間奏に12曲分の振りが入ってることはよく知られた話じゃないかと思います。
初披露(名古屋でのリリイベ)の3日後のSHOWROOMで、りじゅがそのことを紹介してくれていて、僕自身もそこで知りました。
ライブ映像で言うと、ここ。
引きで撮った映像がわかりやすいと思うので、これも少し古いですがALL OUTのときの映像を。画面左端のあやめちゃんが若干見切れてますけど。
イメージつかめたでしょうか。
間奏のうちの8小節を、2小節ごとに4つに区切って、
最初の2小節はあやめ(リンドバーグ)・もあ(灼熱とアイスクリーム)・空(まわるまわるまわる)
つぎの2小節はみっぴ(Magik Melody)・水春(おねがいよ)・りじゅ(グラジェネ)
で、また前半に踊った3人が各1曲、後半の3人が各1曲、
という具合に、12曲の各振付がここにサンプリングされて、織り込まれています。
…以上、予備知識を踏まえまして、
6月20日のZeppツアーファイナルの動画見てびっくりした話を、はじめていきたいとおもいます。毎度毎度、前置きが長くてすみません。
6人時代の「さいしょのさいしょ」をおさらいしてもらったところで、
こんどは、4人verのその間奏の箇所をみてほしい。
人数が変わったので、この箇所にも振付の変更があります。
変更はあるけども、この曲の背景を考えたら、12曲の振付は入れておきたい。と、振付のサトミ先生も考えるだろうと思います。
ではさっそく、先日のZeppのライブから動画を。
ちゃんと見るならニコ生こちら。プレミアムならタイムシフトで7月18日まで見れます。間奏のシーンは46:50ぐらいから。
で、抜粋部分をこちらに載せます。
4人が別々の踊りをして、
つぎは一緒の振付を踊って、
また4人別々の踊りをして、
また一緒の振付を踊る
っていう流れに見えるかなと思います。僕もそう見えてました。
でも、それっておかしいんですよ。
それだと振りが10パターンしかないんです。2曲足りない!
2曲分の要素をカットしちゃったのかなー。と、一瞬、頭をよぎりました。
しかしまさか、サトミ先生がそんなことをするとは思えない。ここは12曲ぜんぶ揃ってなきゃ意味がないってことは、この曲に思い入れがあれば誰だって知ってるはずです。
うーん、どうなってるんだろ、と、気になって仕方がなくなって、夜中にひたすら動画を見返して、メンバーがどの曲を踊っているのかを整理しました。
最初見たときは、こうかな。と思ったんです。表にします。
小節 | もあ | りじゅ | 空 | あやめ |
---|---|---|---|---|
1-2 | 灼熱とアイスクリーム | おねがいよ | まわるまわるまわる | リンドバーグ |
3-4 | Magik Melody | |||
5-6 | 帰れない! | ねぇ、ローファー。 | 214 | キラキラ |
7-8 | それは月曜日の9時のように |
結論からいうと、この最初の見立ては間違ってました。
ちゃんと、12曲ぜんぶあった。
12曲あることに気づいたときは、驚いたし、ほっとしたし、興奮もしました。いや先生すげぇな!と。
自分で言うのあれだけど僕は観察眼あるほうだと思ってるんですけど、これ正解に気づくまでかなり時間がかかりました。読んだ皆さんがすんなり気づいてたら恥ずかしい。でもいちど先入観で見てしまうと、その認識から離れられないものなんですよね。
正解は、こうです。左から2番めのりじゅだけが他と違う。
小節 | もあ | りじゅ | 空 | あやめ |
---|---|---|---|---|
1-2 | 灼熱とアイスクリーム | おねがいよ | まわるまわるまわる | リンドバーグ |
3-4 | Magik Melody | グラジェネ | Magik Melody | Magik Melody |
5-6 | 帰れない! | ねぇ、ローファー。 | 214 | キラキラ |
7-8 | それは月曜日の9時のように | さいしょのさいしょ | それは月曜日の9時のように | それは月曜日の9時のように |
もう一回おなじ動画を貼ります。見て「あっ!」ってなってほしい。
りじゅだけ「グラジェネ」と「さいしょのさいしょ」を踊ってるの、わかりました?
3-4小節の、頭上に挙げた両腕を広げる振付。
7-8小節の、指をL字にして外へ振る動き。
似ている振付を、紛れ込ませてるんです。いわばここに巧妙に「まちがいさがし」が仕込まれているわけです。
あれっ?と一瞬思わせつつも、よく見直せば12曲の歴史をちゃんと大切に残していると、わかるひとにはわかるようにしている。裏切ったフリだけ見せといて裏切ってないやつ。サトミ先生の遊び心に、ぐっと掴まされました。
それに、元々は6人が別々の動きをしていて、ともすればバラバラ感もあったこの間奏のダンスパート。新Verでは「まちがいさがし」でカモフラージュされつつ4人がほぼ同じ動きになり、横並びに立つ4人の一体感もより際立ちます。
そして、特別な役割を与えられたのがりじゅというのも、言わずもがな、膝を打つ人選です。
さらに言うと、驚くべきは、サトミ先生がこれを、とんでもないスケジュールの中で作っているということです。
水春の脱退があってukkaのスケジュールは傍から見ても大変な状況になり、約1ヶ月のあいだに30を超える全楽曲の歌割り変更と振付・フォーメーションの再調整を行う。という事態になりました。振付・フォーメーションに関しては、ukkaのダンスを誰よりも知る、サトミ先生に委ねられます。
そんなてんてこ舞いな状況下でも、アイデア豊かに細かいところまで練り込んで振付を仕込んでいく、サトミ先生。お見事!としか言いようがないです。
ご結婚を期に3月いっぱいでukkaを離れて広島へ、の予定が、全振付変更になって4月末まで残ってukkaのために費やしてくださったという、サトミ先生。きっと新生活のご予定とか、いろいろとあったことと思います。
先生の置き土産の本当の凄さを思い知るのは、まだまだこれからかもしれないです。
ぜひまたいつか、ukkaに踊りを授けてください。やっぱ、サトミ先生だなー!
といったところで、前編はおわります。
後編書きます。いろいろ調べていたら、また違う見え方もあった。
続きはのちほど。(→ 後編、書きました!!)