Track.09「ねぇ、ローファー。」~オタクなりのoctaveライナーノーツ~
Track.09「ねぇ、ローファー。」(作詞、作曲:鈴木健太朗 編曲:高野勲)
(アートワークは、「帰れない!」でも手掛けてくださった 内山ユニコ さん。)
この曲めっちゃ好き。もうめっちゃ好き!
パフォーマンスのことは、書けるほど材料を持ってないです。すみません。
「ねぇ、ローファー。」は、現場でまだ2回くらいしか見たことないうえに、動画もどこにもなくて…。
エピソード的なことだと、りじゅがブログで、
桜エビは 難しい曲が多くて、
レコーディング前、練習しているんだけど
なかなかパートをもらうことに繋がらなくて
いつも次も頑張らないと、 と思っていて
この曲は自分が歌いたいと思っていたところを
歌わせていただけることができました。
淡々と書くんですよね。きっとめちゃくちゃ嬉しかったとおもうのに。
もっと喜びを表現していいんだよおおーって、もどかしく思うけど、
でも、こういうところが村星りじゅさん。
そしてですね、歌詞なんですよ!
「ねぇ、ローファー。」は、とにかく歌詞なんです。
ぽつりぽつりと綴られた詞のなかに、行と行のあいだに、ローファーちゃん(仮名)のことぜんぶ書いてある。
出来の良い俳句かってくらいに、フレーズひとつひとつが情景を広げてくれて、
もうぜんぶ脳で映像化できる。そのいち場面いち場面が、切なく愛おしいんすよ。
きゅんとくるポイントのピークは「君が寝てる斜め前に座る」
ここ!わかる?ここっすよ!
まずですね、「各駅の」ってあるから、この路線には快速や急行もある、まあ僕のイメージとしては関東の大手私鉄です。
朝夕の通勤時間帯は満員でも、午後の学校帰りの時間帯のそれも各駅って、基本そう混んでないんですよ。空席いっぱい。
それでも、
彼が寝てしまってからやっと、そっと斜め前の席に座る。これが彼女の、彼の前で起こせる行動のギリなんです。
でも幸せな時間なんです。同じ空間にいて、近くで彼を見ていられる。
廊下に駆け音や彼の声が響いて、彼はいつもの仲間といっしょに楽しげに喋りながら下校していく。
途中の駅で彼の友達が降りていって、彼は一人になって、座って眠り始める。
その状況になってやっと、ローファーちゃんは彼の斜め前の席に行くんです。
それまではちょっと距離あけてドアの脇とかで、目立たないように邪魔しないように、そっと彼のことを気にしたり、話し声に耳を立てたりしてる。
「一度ぐらい振り返ってほしいな」も、顔を見たいな、ってだけで、それ以上じゃないんです。
目があったり、声をかけられたりまで望んでないんです。
街も人も、うららかになってく。
別れとか出会いとか卒業とかクラス替えとか慌ただしい時期が過ぎ去って、また前と同じ、ゆるやかな日常の空気になっていく。
音を、風を、匂いを、季節を、繊細に感じ取れるローファーちゃんは、
きっとそうやってただ彼を見ているだけでも、毎日いろんな発見や驚きがある。
見てるだけで十分、飽きないかもしれない。満たされてるかもしれない。
でも、
去年よりも…、
そんなローファーちゃんです。愛おしい。
ほんとはもっと、ローファーちゃんのこと書きたいけど、あんまり書いたら野暮だから、
みんな想像広げてきゅんきゅんしよう。してくれ。
そしたらこの曲のこと、前より好きになるから!